石川県能登地方で大きな地震が連続発生!

2023年5月31日

5月5日 14時42分:震度6強、21時58分:震度5強

2021年から約2年半、群発地震が継続発生

5月5日の14時42分に、石川県の能登半島北端の珠洲市近辺で最大震度6強(マグニチュード6.5)の地震が起こり、死者1名、負傷者28名、住宅の一部破損2戸という被害が発生しました。
よころが、その約7時間後の21時58分には、同じ地域で最大震度5強(マグニチュード5.9)の地震が発生しました。わずか約7時間に、震度1以上の地震が41回も発生しています。
この地域では、2021年1月以降、約2年半で震度1以上の地震が420回も発生しています。左図は、2020年12月1日から2023年5月12日朝8時までの震度1以上の地震(412回)の震央を示したものですが、石川県珠洲市の陸側と海側に集中しています。

◀2023年5月5日14時42分(M6.5の地震発生)以降の地震を赤丸で示す。
丸の大きさはマグニチュードの大きさを表す。
●気象庁報道発表資料より

地下に溜まった「流体」が断層面に流れ込み、滑りやすくなった断層がずれて地震が発生した可能性が大きい

この群発地震の原因に関しては、昨年7月に配信した「AIR断震倶楽部通信18号」で触れましたが、京都大学西村卓也教授の新しい知見を交えて改めて解説します。
西村教授は、地下の「流体(高温・高圧の地下水やガス)が、2年半ほど前から上昇してきたことがGPSによる観測でわかった」としています。流体の上昇により、珠洲市の観測点が約7cmも隆起していたのです。この流体が地震を引き起こすメカニズムを説明したのが右図。大きく分けると次の4段階で地震を発生させます。

1.海側のプレートが陸地に沈み込むように動くとき、大量の水分が地下深部に移動
2.水分を含んだ岩石に変化し流体になる
3.流体は岩石よりも軽いため、浮力で地下十数㎞まで上昇し、これにより地面の隆起が起こる
4.上昇した先にある岩盤の亀裂に流体が流れ込み、岩盤に圧力が加わることで亀裂がずれて地震が発生、あるいは流体が潤滑油のように作用して断層面を滑りやすくすることで地震が発生

注意したいのは、流体だけで地震が発生するわけではないということ。能登半島北端の地域には活断層が複数あり、内陸型直下型地震のきっかけのひとつとして、流体が関与している可能性があるということです。
日本列島の地下には、水を含んだ太平洋プレートが沈み込んでいるので、多くの場所で流体上昇がきっかけとなる地震が発生する危険性があります。今後、地下の流体を詳細に調査することで、地震リスクの高い場所を特定し、対策を講じておくことができるようになるかもしれません。