9月1日 アフガニスタンで大地震発生

2200人を超える死者と5000棟以上の家屋倒壊
マグニチュード6.0の規模だが死者数・家屋倒壊数はとても多い
2025年9月1日、日本時間午前4時17分(現地時間8月31日23時47分)、アフガニスタンでマグニチュード6.0の地震が発生し、2200人を超える死者、約3600人の負傷者、5000棟以上の住宅倒壊、数万人が家を失うなど大きな被害が発生しました。震源はアフガニスタン東部、パキスタンと国境を接するクナル州の地下約8㎞の浅い場所でした。
アメリカ地質調査所(USGS)の発表によると、この地震の最大震度(改良メルカリ震度階級)はⅨ(9)=「激しい(Violent)」と推定されています。この強さは日本の震度で6強~7に相当し、建物の大きな損壊・倒壊や地滑りなどの二次被害が誘発されるレベルです。この震度が計測されたのはクナル州ヌルガル地区でした。
アフガニスタン東部では2022年6月22日にもマグニチュード5.9の地震が発生し、パクティカー州とホースト州で少なくとも255人が死亡、500人が負傷しました。被害の大きかったこの2州は、今回の震源のやや南側に位置し、やはりパキスタンと国境を接する山岳地帯でした。
アフガニスタン東部発生の地震
影響を受けた地域

アフガニスタンは日本などと同様の地震大国
アフガニスタンは中国、インドネシア、イラン、日本に次ぐ地震大国です。マグニチュード6~7クラスが数年に1回、マグニチュード5クラスが年間10~30回(年によって差あり)発生し、マグニチュード4クラスは頻発しています。
地震が多発する理由は、アフガニスタンがインドプレートとユーラシアプレートの衝突境界域にあるためです。この衝突が地殻に強い圧縮・ひずみを生じさせています。インドプレートは北~北北西方向に移動し、ユーラシアプレートに押し付ける形になっており、その運動がヒマラヤ・パミール・ヒンドゥークシュなどの山岳帯を押し上げ、褶曲や断層活動を促しています。
また、プレートの収束方向と横ずれの両方を含む複雑な変形を吸収する断層帯があり、これが浅発地震の主要因となっています。インドプレートの北進速度は約40㎜/年と推定されています。さらに、パキスタン国境からアフガニスタン南東部にかけて延びる左横ずれ断層(チャマン断層系)が、震源の浅い強い揺れの地震を頻発させています。首都カブール周辺に分布する逆断層・横ずれ断層(パンジシール断層・サラング断層)は、インドプレート衝突の力を分散しながらずれるため、しばしばM6~7級の浅発地震を発生させます。
■アフガニスタン近辺で発生した主な地震

1991年以降、アフガニスタンで発生した大きな地震をまとめたのが左表です。震源は東部のバダフシャーン州、タハール州、バグラーン州、ナンガルハール州、ホースト州、首都カブールと、西部のバードギース州、ヘラート州に集中しています。
※出典:Wikipedia、発生年月日は
現地時間(日本標準時より4時間
30分遅れ)、2025年8月31日の地震
は日本では9月1日になる。
マグニチュード6.0の規模で大きな人的被害が発生した理由
日本ではマグニチュード6.0の中規模地震でこれほど多くの被害が生じることはあまりありません。被害を大きくした要因は次のように考えられます。
●浅い震源で揺れが強かったこと(最大震度6強~7)
●夜間に発生したこと
●石積みや日干しレンガ造りの家屋が多く、耐震性が低かったこと
●山岳地帯で地滑りが起き、家屋を壊したこと
●山間部で救助・支援体制が立ち遅れたこと
この地震から得られる最大の教訓は、「中規模地震でも社会的条件によっては大災害になり得る」という事実です。耐震建築の普及や孤立集落へのアクセス確保は喫緊の課題です。また、住民への避難教育や早期警戒の仕組みを強化し、夜間でも迅速に対応できる備えを整える必要があります。