9割以上の木造住宅が現行の耐震基準を満たしていない
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が、2021年3月に発表した「耐震診断基本データ」によると、耐震診断を実施した2万7929棟の木造住宅のうち、「倒壊する可能性が高い」住宅が74.6%、「倒壊する可能性がある」住宅が16.9%と合わせて91.5%が2000年6月に改正された新・新耐震基準(2000年基準)を満たしていないことがわかりました。
建築基準法の耐震基準は、「旧耐震基準」「新耐震基準」「2000年基準」の3種類があります。旧耐震基準=1981年5月31日以前に建築確認したもの。新耐震基準=1981年6月1日~2000年5月31日に建築確認したもの。2000年基準=2000年6月1日以降に建築確認したものとなっています。
現行の2000年基準は、「数百年に一度程度発生する地震の震度でも倒壊・崩壊しない」耐震性のある住宅です。この調査には2000年基準の住宅は入っていませんが、充分な耐震性をもった木造住宅が1割に満たないというのは驚きで、耐震補強を検討する必要がありそうです。
旧耐震基準の97.4%、新耐震基準の85.9%が巨大地震で倒壊の恐れがある
このデータは、木耐協に耐震診断依頼をした住宅(1950年~2000年5月に着工された「木造在来工法、2階建て以下」)の一般社団法人日本建築防災協会の一般診断法に基づいて行った耐震診断結果をまとめたものです。診断結果の「倒壊しない」「一応倒壊しない」が、現行の2000年基準の耐震性を満たしているもので、「倒壊する可能性がある」「倒壊する可能性が高い」が、2000年基準を満たさない住宅です。
❶のデータを、旧耐震基準、新耐震基準に分けて細かく見たのが上の➋❸のグラフです。
旧耐震基準では「倒壊する可能性が高い」住宅=85.4%、「倒壊する可能性がある」住宅=12.0%
新耐震基準では「倒壊する可能性が高い」住宅=64.3%、「倒壊する可能性がある」住宅=21.6%
このように旧耐震基準住宅の97.4%、新耐震基準住宅の85.9%が大きな危険を含んでいるのです。
耐震補強工事は、木造住宅を2000年基準を満たすように補強していくもので、多くの自治体では耐震補強工事に関する工事費や設計に対する補助金・助成金が整備されています。大半の自治体で、補助金・助成金の利用条件として「現行の耐震基準(2000年基準、総合評価1.0)まで補強すること」となっています。また、耐震補強工事をした場合には、所得税の特別控除が受けられます。耐震補強工事を実施する前には、自宅のある自治体の補助金・助成金に関して調べておくと良いでしょう。