8月9日 神奈川県西部で震度5弱の地震発生

2024年9月30日

震源は関東大震災の推定震央に近い場所

8月9日19時57分頃、神奈川県西部を震源とする最大震度5弱の地震(マグニチュード5.3)が発生しました。この地域では8月16日までに4回の震度1~4までの地震が観測されました。 専門家の分析では「南海トラフ地震」とは関係ない地震としています。
震源の位置を地図で確かめると、1923年9月1日に発生した関東大震災の推定震央にとても近い場所でした。東京都が巨大地震として注意を呼びかけている「大正関東地震(関東大震災)」との関連もないようですが、改めて首都直下地震の危険を思い起こさせる地震となりました。
地震は「海溝型地震(プレート境界型地震)」と「直下型地震(内陸型地震)」に分類されますが、関東大震災は、両方が当てはまる地震でした。 フィリピン海プレートが陸のプレートに沈み込む、相模トラフの境界面あたりを起点とし、まず神奈川県西部で本震が発生、その後短時間の内に関東南部で7回のマグニチュード7以上の地震を含む、数多くの余震が内陸と海で発生しました。
首都直下地震は、複数の断層帯を震源とするマグニチュード7クラスの直下型地震と、相模トラフの境界面に発生するマグニチュード7~8の海溝型地震に分かれます。 国及び東京都では19個所の震源域を発生箇所とし、それぞれの地震の被害を想定し防災対策を立案していますが、直下型地震では「総合的な防災対策」、海溝型地震では「津波対策」に重点を置いて対策を講じています。

首都直下地震の19箇所の震源域とそれぞれの被害想定

内閣府中央防災会議では、平成25年12月に『首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)』をまとめ、首都直下地震に対する対策を発表しています。この報告書では地震発生の可能性のある19個所を上図のように示しています。この内の内陸型地震は、活断層を震源とする地震、プレート内の地震、プレートの境界の地震、地殻内の浅い震源の地震。海溝型地震は、相模トラフの境界線付近で発生するものや、南海トラフ地震の影響によるものが想定されます。上図でわかるとおり首都直下地震は関東南部の至る所に地震の危険性を秘めているのです。
東京都では、これまでの被害想定と対策を10年ぶりに見直し、令和4年5月25日に『首都直下地震等による東京の被害想定』を発表しました。様々な地震の想定パターンのうち、「都心南部直下地震」「多摩東部直下地震(立川市直下地震)」「立川断層帯地震」「大正関東地震(関東大震災)」「南海トラフ巨大地震」の5つを中心に検討を開始しました。都心南部地震は、首都中枢機能への大きな影響のあるもの、交通網、木造住宅密集地帯の火災延焼などの大きな被害が想定される地震として選ばれ、多摩東部直下地震、立川断層帯地震は、多摩地域に大きな影響があるもの、大正関東地震は、現在では発生確率は低いが、100年後ごろには発生する確率が高くなっていると想定される地震として選ばれました。また、南海トラフ巨大地震は、東京都の島しょ部への津波の影響度が高くなっていると想定され、内陸部でも長周期震動による高層ビルなどへの弊害が想定されるために選ばれました。
下表は、この5つの地震に都心東部直下地震、都心西部直下地震を加えた7つの地震の被害想定をまとめたものです。