2023年地震発生回数は?
2023年の地震発生回数(震度1以上)は2139回
震度4以上は41回、震度5弱以上は8回発生しました
2023年1月1日~12月14日までに発生した地震(震度1以上)は2139回、その内震度4以上の大きな地震は41回でした。この4年間では2021年の2424回に続く回数でしたが、震度4以上ではこの4年間では一番少ない年でした(2021年の54回が最大)。震度5弱以上の地震は8回ですが、昨年の15回の半分程度に収まりました。
石川県能登地方と鹿児島県トカラ列島付近では群発地震が続いています
左図は、気象庁の地震データベースから作成した「2023年に発生した震度5以上」の地震の震源位置を示したものです。〇の大きさは地震のマグニチュード、色は震源深度を表しています(赤は浅い、黄色は中間、緑は深い)。この中で最も激しい揺れだったのは、5月5日14時42分に石川県能登地方で発生した震度6強(マグニチュード6.5)のものでした。その日の夜9時58分にも震度5強(マグニチュード5.9)が発生しました。
この地域では、2020年12月1日から2023年12月8日までに震度1以上の地震が501回発生し、活発な地震活動が継続しています。
鹿児島のトカラ列島近海でも群発地震が続き、小宝島付近では9月8日~30日の間に震度1以上の地震が346回発生しています。
京都大学の西村卓也教授は、能登半島もトカラ列島も「”流体の移動”が関与している可能性がある」との指摘をしています。”流体”とは、高温・高圧の地下水のことで、地下10数キロ程度の深さから水がプレートの沈み込みにより上昇、高温化し、それが周囲に拡散していく過程で、断層に刺激を与え、地震を連続して発生させていると説明しています。今後30年以内に発生する可能性が大きい首都直下地震や、南海トラフ地震とは違った発生メカニズムですが、地震が連続している地域では不安な日々が続いています。
今後30年以内に約80~90%の確率で発生
どうなる?首都直下地震、南海トラフ地震
政府の特別機関である「地震調査研究推進本部地震調査委員会(通称:地震本部)」では、マグニチュード8~9規模の地震発生確率を「30年以内に約70~80%」と予測しています。関東大震災のマグニチュードは推定7.9、東日本大震災が9.0ですから、これらの巨大地震と同規模の地震発生確率が非常に高くなってきたということです。
上図は、地震本部が平成29年に発表した巨大地震が起こる可能性の高い地域と、発生確率を示したものです。巨大地震は被害範囲が大きく広がります。発生地域だけでなく数倍の広い地域にまで影響が及ぶので、どの地域に居住していても注意すべきものです。特に注意しておきたいのは次の4つです。
●南海トラフ地震
西日本全域に及ぶ広範囲の地震が予測されてます。30年以内にマグニチュード8~9の巨大地震発生確率は約70%。関東から九州にかけて の太平洋岸では大きな津波も懸念されています。
●日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震
根室沖で発生する大きな津波を伴うと考えられている地震。30年以内の発生確率は60%。
●首都直下地震
マグニチュード7クラスの大地震が、30年以内に約70%の確率で発生が予測されています。首都圏全域に発生する危険性がある大規模な地震ですが、発生場所の特定が困難なこと、大きなビルやマンションが建ち並び、人口密集地域だけに被害も大きくなると予測されます。
●中部圏・近畿圏直下地震
こちらも人口密集地域を襲う直下型の地震で、文化財や老朽化した木造建築物に大きな被害が発生する恐れがあります。
地震の発生確率はあくまでも計算上のものなので、発生時期、発生場所をピンポイントで予測することは不可能です。例えば2016年4月14日と16日に発生した熊本地震(マグニチュード6.5、マグニチュード7.3)では、該当の断層帯でマグニチュード7クラスの地震が発生する確率はわずか1%未満でした。現在、巨大地震発生確率が低い地域でも決して気を緩めることなく、地震に対する備えだけはしっかりやっておきたいものです。