能登半島北部で、群発地震が続いています。
能登半島北部で、群発地震が続いています。この20カ月で震度1以上が190回超も発生しました。
能登半島では、2018年ごろから地震が頻繁に発生し、2021年9月16日にM5.1、2022年6月19日にM5.4、6月20日にM5.0、最大震度6弱の地震が発生しました。2020年12月から2022年7月13日までの約20ヵ月間に、震度1以上の地震は190回以上発生。震央は、能登半島の北端、珠洲市北部の東西2箇所にまとまっています
【能登群発地震 原因の有力仮説】
長期にわたり地震が続くと、住民の不安も増大しますが、6月11日、政府の地震調査委員会は「地下にある水などの流体が関係している可能性があるものの、原因は特定できない」との見解を発表しました。
可能性の1つに「地下にある水などの流体が関係している」とありますが、京都大学防災研究所附属地震予知研究センターの西村卓也准教授によると、左図のように、海のプレートである太平洋プレートが、陸のプレートであるユーラシアプレートに沈み込む過程で、水を含んだ岩石に変化し、その水が分離して地下10数㎞付近に溜まり、その水が膨張し、周辺の岩盤に力が加わり地震が発生している可能性があるということです。
震央に近い珠洲市の観測点では、1 年半で約4㎝の隆起が確認されています。隆起はいまも続き、西村氏は「すぐに地震活動が衰える気配はない」と見ています。
今後も強い揺れが起きる可能性があるので、「家具を固定する」「高いところにものを置かない」「転倒の危険性があるものの側では寝ない」などの基本的な地震対策を講じておく必要がありそうです。
50 年前、長野市松代町付近では 5 年半も地震が続き、総発生回数は 71 万 1341 回というものでした。
この松代群発地震は、1966年4月5日~1970年6月5日という長期間継続しました。地震の総発生回数が71万回を超えるという世界的にも例を見ない特異なものでした。有感地震は6万2826回(震度5=9回、震度4=48回、震度3=413回、震度2=4596回、震度1=5万6253回)にも及び、1日に585回もの有感地震が起きたこともありました。
一連の地震の特徴の1つは水や温泉の吹き出しです。町のいたるところで水や温泉が噴き出しました。温泉自体は悪いことではありませんが、塩素を含む水だったので、農作物には大きな被害が生じました。
この長期にわたる地震のメカニズムは特定されていませんが、最も有力なものが「水噴火モデル」。これは、能登群発地震の原因と推定されるものと同様です。地下に溜まった高圧の水が、深さ数㎞~数10㎞の岩盤の割れ目に侵入し、割れ目を広げたり、新たな割れ目をつくったりします。このときに地震が発生。そして、割れ目を通って上昇した水が地表に噴出するというものです。
地震の原因として、プレートの沈み込み、断層のズレ、火山性のものなどが知られていますが、松代群発地震や能登群発地震のような地下の水が原因となるものもあるようです。
松代群発地震を契機に、日本の地震予知研究も大きく進歩しました。気象庁の全国地震観測網の発展により、P波による緊急地震速報が可能になりました。弊社のエアー断震システムも、このP波を感知することで建物が空気で浮き上がり、揺れから建物を切り離すという仕組みなのです。