地盤の液状化による倒壊の危険性
建物の耐震化だけでは安心できない
地盤の液状化により倒壊の危険性も生じる
上の写真は、1964年6月16日n新潟県の粟島南方沖約40kmを震源としたマグニチュード7.5の地震により倒壊したアパート群です。最大震度5とそれほど大きくない地震にもかかわらず、鉄筋コンクリート造4階建てのアパートが原型を留めたまま横倒しになりました。この原因は地面の液状化によるものでした。液状化とは、地震の振動により地下水位の高い砂質土の地盤が液体のようになる現象で、噴水、噴砂、地盤沈下、マンホールの浮き上がり、建物の傾斜、沈下、倒壊をもたらすものです。
地震による液状化は、下図のように発生します。
平常時には土や砂の粒子が固着していますが、①高い地下水位②川の流路跡や埋立によるゆるく堆積した砂地盤の二つの条件が重なることにより、粒子が水と一体化し液状化が発生します。地震時には砂や水が地上に噴き出て、地震後には地盤沈下やマンホールの浮き上がりが起きます。この現象により、道路、上下水道管、橋などのインフラに大きなダメージを与え、インフラが損傷し復旧に長い時間を要することもあります。
本年1月1日の能登半島地震でもこの現象が約2000ヶ所で発生し、建物や道路などへの被害を大きくしました。建物自体を耐震化していても、地盤の液状化により傾いたり、沈んだり倒壊することもあります。能登半島地震時に輪島市で倒壊した7階建てビルは、杭基礎をしっかり打ち込んでいましたが、地盤の液状化により杭と土台の接合部分に大きなストレスがかかり、接合部分の破断によりゆっくりと倒れたようです。
自宅の地盤の状態を知り、液状化の危険を確認する
自宅の土地の液状化の危険は、先月配信号でもお知らせした国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/index.html)で知ることができます。身の回りの災害リスクを調べる「重ねるハザードマップ」で、知りたい場所の住所の入力することで、その場所の液状化の発生傾向、洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを地図や写真に自由に重ねて表示できます。ちなみに、弊社の住所をトップ画面に入れると下のような地図が出てきます。
左側の「すべての情報から選択」をクリックし、「土地の特徴・成り立ち」を選び、「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」を選択すると左のマップに変わります。
さらに見やすくするために地図を縮小し範囲を広げると、東京湾一帯の液状化の傾向を見ることもできます(左図)。
この地図の色は下図の凡例に示すとおりで、紫→赤→オレンジ→黄→灰色の順番で液状化発生傾向の強さを表しています。
この重ねるハザードマップでは、おおよその液状化の傾向を知ることができますが、より詳しく知るためには、自治体が発行している「液状化マップ」などがあります。東京都は「東京都の液状化予測図」、千葉県は「千葉県地震防災図」を公開しています。