日本にはなぜ地震が多いのか?

列島誕生の歴史から解き明かす
★複雑に重なり合う4つのプレートの動きが
日本列島を生み出し、たくさんの地震を起こす
日本列島が今の姿になるまでの歴史を、4つの地図で見ていただきましょう。❶が約3000万年前のアジア大陸東岸と現在の日本近辺の地図です。➋が1500~1400万年前の同地域の地図です。❸が600万年前、❹が300万年前の地図です。




❶の地図の、陸地の東端に赤の線で示しているのが、後に日本列島となる地盤の大元。3000万年前にはまだ中国とくっついていたのです。太平洋プレートは大陸に近いところで北米プレートとフィリピン海プレートに沈み込み、フィリピン海プレートもユーラシアプレートに沈み込んでいました。この複雑な動きにより、約2500万年前に「日本列島の素」は大陸から切り離され、後に西日本になる部分は時計回りに回転しながら移動しました。
➋の1500~1400万年前の地図では、西日本にあたる地域は朝鮮半島と陸続きです。東日本は反時計回りに回転しながら移動しましたが、1500~1400万年前の地図では、東日本と本州はまだ現在に近い姿にはなっていません。
600万年前、300万年前と徐々に日本列島の現在の形に近づいてきますが、伊豆半島、房総半島はまだありません。北海道も1つの島になっていません。伊豆半島はかつての南の海にある島でしたが、太平洋プレートの動きによって日本列島に近づき、200万年~100万年前に本州に衝突して合体し始め、60万年前ごろに半島となりました。丹沢山塊はこの衝突によって生まれました。
房総半島は約12万年前に、海底が隆起して現在の基盤が作られました。
このような複雑なプレートの動きが日本列島を生み出し、数多くの地震の原因となっているのです。
★西日本と東日本は日本海を別々に動き
フォッサマグナによって奇跡的に結びつけられた
次は現在の日本の地層を示した地図です。赤線で示された「糸魚川ー静岡構造線」の右側の黄色く塗られた部分がフォッサマグナで、大地溝帯とも呼ばれます。地層を調べると、フォッサマグナの両側が古い地層で、フォッサマグナはそれより新しい地層になっています。

西日本と東日本は、ユーラシア大陸から別々に切り離されて移動し、フォッサマグナによって再び結合しながら現在の姿になっていますが、まだその動きは止まっていません。
また、日本にある約2000の活断層もプレートの動きにより上下左右にずれたもので、この動きも地震の原因になっています。
太平洋プレートの現在の動きは年間約8㎝東南東の方向からフィリピン海プレートに沈み込んでいます。100年後には8ⅿ、100万年後には80㎞も移動する計算になります。これから先数千万年後には、日本列島はまったく違った形になっていることは間違いありません。
★世界の地震多発国はすべてプレートの境界にある
プレートの動きを理解するために、地球の歴史を頭に入れておきましょう。
■地球、そして海の誕生
約46億年前、宇宙のガスや塵が集まり、他の天体との衝突と融合を繰り返し、次第に大きく成長し原始の地球が誕生。当初は「マグマの海」で覆われた高温の天体でした。それから500万年~1000万年かけてマグマの海の表面が固まり始めると、地球表面の温度が下がり始め、大気中の水蒸気が雨となって降り続いて40億年前(38億年前という説もある)ごろに海が誕生しました。
■陸の誕生
大陸がいつできたかはまだわかっていませんが、最古の岩石としてカナダで発見された片麻岩は約40億年前のものとされています。
■超大陸の誕生
約30億年前に「バールバラ大陸」という大きな陸地(超大陸)が生まれたとされています。この大陸は地下のマントルの対流などにより、分裂、浮遊、結合を繰り返し、その後も別な超大陸が何度も生まれては分裂していきました。

■最近の超誕生
1912年にドイツ人の気象学者(現在の地球物理学のような研究者、大陸移動説)ウェーゲナーが命名したのが「パンゲア超大陸」です。ウェーゲナーは、南アメリカ大陸の北東部海岸の出っ張りと、アフリカ大陸の中西部海岸の凹みの形が酷似していることに気付き、元々は1つの大きな大陸が分裂して、現在地球上にある大陸になったという説を発表しました。この説はいったんは否定されましたが、現在定説となっているプレートテクトニクス理論の原点になっています。パンゲア大陸は約3億年前に誕生し、2億年前ごろから分裂し始めたと考えられています。
これらの歴史からわかるのは、地球上の陸地は超古代から現在まで常に移動し、その形を変えながら存在していたということです。現在地球上には数10のプレートが存在し、プレートとプレートの境目では、ぶつかり合ったり、一方が他方に潜り込むことにより歪みが生じ、地震が発生します。別表は、マグニチュード5.5以上の地震の1年間の発生件数の国別ランキングです。10位まで表示していますが、表でわかるとおりどの国もプレートの境界にあります。
