大地震で発生する大きな被害は、脆弱な建造物の倒壊によるものが多い
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火災に強いレンガも、地震には弱かった
1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災で、関東全域にて全壊した建物は約11万棟、それによる死者数も1万1000人を超えました。1890年に浅草に建設された「浅草凌雲閣」(高さ:67m、12階建て、1~8階には日本初のエレベーターを設置)も8階で折れるように崩れ落ちました。浅草凌雲閣は10階まではレンガ造りで、その上は木造でした。横浜でも、横浜地方裁判所など多くのレンガ造りの建物が崩壊しました。
レンガを使用した建築は、文明開化とともに東京や横浜を中心に多くなってきました。江戸時代に度重なる大火に襲われていたため、レンガを使用した建築物はモダンなイメージがあり、何より火に強いため次第に普及したのです。
ところが関東大震災では、レンガ造りの建物がたくさん倒壊し、耐震性が問題視されて需要が減っていきました。
1919年に施行されてた市街地建築物法にも、震災の翌年には耐震基準規定が導入されるようになりました。これ以降、下図のように大震災が
発生し、建物の耐震性の問題が露呈される度に、建築基準法の耐震設計基準が改正されてきました。
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▲激しい地震で8階部分で折れた浅草凌雲閣
(写真提供:東京都立図書館)
木造住宅の耐震基準が強化された
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災では、老朽化した木造家屋の倒壊による死者が多数出ましたが、1981年に施行された新耐震設計法で建築された建物の被害は少ないものでした。
それでも、震度7の巨大地震に見舞われた地域では、新耐震設計基準でも被害を免れることはできませんでした。そのため、2000年に建築基準法が更に改正されました。
主な改正点は、次のようなものです。
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▲阪神淡路大震災(写真提供:神戸市)
■事実上、地盤調査を義務化。それに応じた基礎の設計
■筋交いを止める金物、柱の位置、耐力壁の強さで柱を止める接合金物が指定
■耐力壁の配置バランス計算が必要
このように木造住宅の耐震設計基準を変更することで、大きな地震にも耐えられる建物が増加してきました。2007年には、建築確認・検査がより一層厳格になり罰則規定も強化されました。また、3階建て以上の共同住宅には、中間検査も義務づけられるようになりました。
耐震基準の法改正は必要ですが、問題は多くの犠牲が出た後に施行されるということです。災害では「想定外」のことが必ず発生します。人間の知恵、技術をフル活動させ、できる限り想像力を働かせ「想定外」の事態が発生する確率を低くしておくことが重要ではないでしょうか。